今から20年以上前。GPSの信号は、SA(選択利用性)と呼ばれる操作により意図的に精度が落とされていたため、精度は約100m程度といわれていた。2000年にはこのSAが解除されたことにより、誤差10m弱まで改善したものの、位置情報の活用は一部の用途やユーザーに限られたものであった。しかし2000年代以降、携帯電話へのGPS搭載がはじまり、2007年の3G携帯電話へのGPS搭載が義務化、スマートフォンの登場により、誰もが位置情報を利用できる時代が訪れた。。
2012年に行われた第10回ジオメディアサミットで上田直生氏は、このような人々が容易に位置情報を得ることは、時計を得ることにより時間の管理を可能としたことに匹敵する大きなパラダイムシフトであると指摘している。
それから6年。この間に測位システムにも劇的な変化が起きている。すなわち、GPS以外にも複数の測位衛星群を利用したGNSS(Global Navigation Satellite System)が成立するとともに、準天頂衛星による高精度単独測位(PPP)への期待も高まっている。また、安価なGNSS受信機とオープンソースのGNSS測位パッケージであるRTKLIBを用いることにより、個人で基地局を設置し、RTKやPPKを利用することが可能となった。すなわち、GPS単独の時代よりも、さらに高度かつ高精度の位置情報の活用が可能となっている。
そこで本特別セッションでは、GPSからGNSSと進化した測位システムや、小型受信機を用いたRTK技術やその活用事例について事例紹介をいただき、オープンソースのコミュニティがさらなる位置情報の活用や、その基盤の構築についてどのような貢献が可能か検討する。
2018年11月10日 15:30~17:30(予定)
東京大学駒場リサーチキャンパス An棟2階
GNSS測位技術の進展により、いつでも、どこでも高精度に位置を測ることができる環境が整いつつあります。近年では、自動走行やスマート農業等の様々な分野でのGNSS測位の利活用が進んでおり、今後も更なる拡大が想定されています。
GNSS測位で得られる高精度な位置情報を有効に活用するには、周辺の建物や道路等の情報を示す地図との重ね合わせが必要ですが、日本の国土はプレート運動等の地殻変動により日々動いており、過去の測量で作成された地図と新たに実施したGNSS高精度測位結果の間にズレが生じます。
国土地理院ではこの地殻変動によるズレを補正し、GNSS測位結果と地図を円滑に相互利用できる環境の整備を進めているところであり、本報告ではGNSS測位の現状と地殻変動補正の概要について紹介します。
近年,準天頂衛星みちびきをはじめとする衛星数の増加や,低コストRTK受信機の登場により,大きな変革期を迎えています.本講演では,RTK測位の基礎や測位性能を解説するとともに,その活用事例を紹介します.
1秒に1回以上の高頻度でcm測位が可能なRTK-GNSSの技術的な解説を専門誌で特集し、それに合わせてRTK測位を試せるキットを発売したところ、このペースでいけば出荷1000台を越えそうな勢いで売れています。どのようなキットなのか、どのような反響があったのか、今後どのように展開していく予定なのかを紹介します。
岩城農場は農業用ガイダンスシステムの低コスト化と高精度化の取り組みを進めてきました。今回は個人が自宅に設置できる小型のRTK測位システムと、 農作業現場における実際の活用事例をご紹介します。